「第7回やまがた教員養成シンポジウム」を開催しました。

平成29年12月10日に山形大学小白川キャンパスを会場にして、第7回やまがた教員養成シンポジウムを開催しました。これは、大学院教育実践研究科と地域教育文化学部が、公益財団法人やまがた教育振興財団の支援と東北文教大学の共催、山形県教育委員会の後援を受け、開催したものです。当日は、高校生74名を含む、181名の参加がありました。

シンポジウムのテーマは、「質の高い学びの実現に向けて」でした。現在、日本の教育は、「アクティブ・ラーニングの視点で生徒の学びの質を高めていくこと」が問われています。この「学びの質の高度化」は、小中学校から高校の授業改善、大学入試改革に至るまでの一貫した動きです。本シンポジウムは、こうした新しい教育のビジョンを探ると同時に、その場に県内の高校生をまきこみ、教師教育の新たな高大接続のあり方を試みるものでした。

今回のシンポジウムの特徴は、高校生の参加者の倍増です。本シンポジウムでは、一昨年の第5回から高校生と大学生の合同ゼミを開催してきました。高校生は、一昨年の30名、昨年の40名に対し、今年は74名に増えました。昨年からのリピーターの高校生も含まれています。高校は、山形東高校・山形西高校・山形北高校・上山明新館高校・天童高校・東桜学館高校・新庄北高校・米沢興譲館高校・長井高校でした。

シンポジウムの第一部では「学ぶとはどういうことか」を主題に、高校生と大学生あわせて98名で合同ゼミを行いました。森田智幸准教授がコーディネーターをつとめ、テキスト(「わかり方」の探究、小学館)を読み、「学び」と「遊び」の関係について考えました。この場には、テキストの著者である佐伯胖氏(東京大学名誉教授)にも参加いただきました。佐伯氏は、認知心理学を中心に日本の「学び」研究を牽引してきた研究者です。

たとえば、佐伯氏が、次のように指摘した箇所があります。「人間本来の活動では、『遊び』と『学び』が渾然一体となっていたはずのものが、学校教育によって『勉強』が導入されることで、遊びは『勉強』の対立語になってしまった」(p.203)。佐伯氏は、「勉強」=「学び」-「遊び」と表します。この式を移項させて、「学び」=「勉強」+「遊び」ではないか、と考えたグループがありました。この指摘は、参加者が、日々の勉強を「学び」から問い直すものになりました。

高校生からは次のような感想がありました。

「昨年も参加したが、『勉強』=『学び』-『遊び』を移項するという考えに気づかなかった。(中略)学問を教えるには感情が必要で、その感情は『面白さ』と『驚き』だと思った。私は教員になりたいので、早く大学生になって、もっと深く教育について研究・探究したい。このゼミに参加する度に、詳しく調べたい内容が自分の中で増えていきます」

「学び=勉強+遊びがしっくりきました。大事にしていきたいです。高校に入ってから特に、おもしろいと思うこと、『おどろき』を感じることを忘れていたなと思います。今日、来れて本当によかったです」

「著者の佐伯先生に加わって頂いてできたことで、すごく楽しく、納得がいく議論ができました。さらに学びについて深まりました。(中略)この企画はやっぱり大学生とも交流できるし、大学を身近に感じられるのですごくいいなと思いました」

グループで話し合う
大学生1人に高校生3人
共有する
耳を傾ける佐伯名誉教授と森田准教授


午後の第二部は、質の高い学びの実現に向けて「学びのフォーラム」を試みるものでした。高校生と大学生の合同ゼミに、一般の参加者も加わった拡大合同ゼミの企画です。

出口毅研究科長の挨拶のあと、はじめに森田准教授と佐伯氏の対談の形で問題提起がありました。特に、高校生と大学生の合同ゼミで「よくわからない」といつも議論になる点について、森田准教授から佐伯氏に質問しました。基礎とはどのようにとらえたらよいか、具体的に考えるとはどういうことか、といった点です。それらに対する佐伯氏の考えをうけて、フロアのグループで議論しました。グループにはなるべく高校生や大学生が入り、世代をこえて質の高い学びについて考え合いました。フロアからの応答に、佐伯氏がさらに語りかける場面もありました。

参加者からは、次のような感想がありました。

「勉強、学びということの、いろんなことが分かってきました。分からないことを楽しむとか、面白いと無理やりでも思うとかは、最初は難しいけど、やっていきたいと思った。あと、この本を、自分の高校の先生全員に読んでもらいたい」(高校生)

「毎回、行きつく結論が違って面白かった。時間がもっとほしい。先生もたくさん来てほしい」(高校生)

「高校生と大人が意見を交わすことで、前回参加したときよりも『学ぶ』ということについて考えを深めることができました。それぞれのグループで話し合ったことを全体で共有して、またグループに戻って考えることで、うまく言葉で表現できなかったところが表現できるようになったり、行き詰まっていたところがすんなり入ってくるようになったりと、自分の中で変化があったことが、参加してよかったなと思います」(大学生)

「昨年に引き続き参加して思うことは、新採以来築き上げてきた『学校の常識』を全部壊される不安、恐怖そして『わくわく感』を感じるということです。今すぐ何かを起こしたくなる、参加者の心に火をつけるシンポジウムだと思います。(中略)学びのフォーラムの試み、大変よかったです。講演会もいいですけれど、参加者にとってより自分事の学びになったと思います」(教員)

「高校生と話をすることはほとんどなく、同じ教育に興味のある方と話をする(違う視点からの話)ことは、興味深かったです。学ぶ側から学びを考えるということも新鮮でした」(教員)

以上のように、高校生から大学生、現職研修におよぶ多様な方々に参加いただき、山形県における教師の養成と成長にとって有意義なシンポジウムになりました。シンポジウム当日の山形新聞の報道はコチラをごらんください。(報告:江間史明)

対談形式の話題提供
会場の様子
グループで話し合う
語りかける佐伯名誉教授
フロアからの発言(高校生)
フロアからの発言(1年目の教員)


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