国立大学の独立行政法人化に反対する声明
1999年9月28日
山形大学職員組合執行委員会
国立大学の「独立行政法人化」問題が、今春の中央省庁改革推進本部の国家公務員の25%削減方針を直接の契機とし、独立行政法人通則法が設立した7月以降、驚くほど急激な展開をみせています。文部省、国大協における密室での検討を経て、9月20日には文部省が国立大学長・事務局長会議を開催し、国立大学の独立行政法人化の方針を正式に示したことを、我々はつい先日知りました。
9月上旬に文部省が国立大学の独立法人化を認める意向を固めたというニュースに接して以来、我々は、きわめて短期間ではありますが、さまざまな学習会を通じて、独立行政法人化の問題点を学んできました。そして独立行政法人通則法の基本的な考え方が、行政の権限集中化と並行して、「短期的な効率主義」と「競争原理」を強いながら、行政機構のスリム化をはかることをその制度設計の基調に据えたものであること、また、その法律の立法精神からいって、たとえ特例措置等の文言が盛り込まれたとしても、通則法の枠の中では、国立大学が主務省による強力な指揮権(長の任命権、中期目標の設定、評価委員会による業務評価)下におかれることが不可避であることを学んできました。さらに、近年の国立大学は、文部省指導の上意下達の大学改革による組織内部の混乱や、一方で、財界からの高度科学技術立国の提言をうけた、莫大な研究資金の特定分野への集中等、多忙と職場内の分断という状況におかれており、独立行政法人化はこうした事態を一層加速させるものであることも学んできました。
いま21世紀に向かって問われている高等教育存続の意味は、決して短期的かつ経済至上主義的な国益追及や、特定省庁の利害判断、ましてや一部の大学・学部等の管理者による恣意的なものに左右されるものであってよいはずがありません。
大学は、本学の学則にあるように、「教育基本法の精神にのっとり、学術文化の中心として広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し知的道徳的及び応用的能力を展開させて、平和的民主的な国家社会の形成に寄与し、文化の向上及び産業の振興に貢献することを目的及び使命」としています。人間社会は、未来の創造のために、若い世代や社会に対して役割をはたすべく、社会の公共財産として高等教育機関を作り上げてきたのです。その理念ゆえにこそ、高等教育機関は、人々に開かれた教育機会を提供し、時の経済の浮沈に左右されることなく、長期的視点に立って真に公教育の立場からなされなければなりません。
学問・教育・研究の自由を確保するために捧げられてきたこれまでの先人の数え切れないほどの努力と、今日の大学を築き上げてきた伝統に思いを致し、後世に悔いを残さないために、われわれは再度自覚を新たにして、大学の学問研究の自由を守り、公教育の責務をはたして、国民の福祉に寄与する大学の使命を全うするために、ここに国立大学独立行政法人化に強く反対する。