ことばを窓として、人間のこころの性質を探る

*    *    *    担当授業について    *    *    *

 

私が担当する英語学の授業では、英語を母語とする人のことばの知識を形作る規則について取り上げます。例えば、英語のyes-no疑問文の形成を考えてみましょう。Shohei will arrive soon.という文に対応するyes-no疑問文は、Will Shohei arrive soon?ですね。では、The men who are standing at the door will leave soon.の場合はどうでしょうか。正解は、Will the men who are standing at the door leave soon?です。英語を母語とする人は、「どの語とどの語がまとまりをなし、主語として働いているか」を知っており、主語のすぐ右側の助動詞を文頭に移動することで、yes-no疑問文を作ります。

 

英語の母語話者のことばの知識には、上のような文の構造に関する規則の他に、語の構造に関する規則や、発音に関する規則、意味解釈に関する規則も含まれます。高校生の皆さん、山形大学で一緒に英語の規則について学び、英語の仕組みについて理解を深めませんか。

 

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写真1

 

*    *    *    研究について    *    *    *

 

私の研究は、ことばを窓として、人間のこころ・脳の性質を探る研究です。ここでの「こころ」は、外界との情報のやりとりを支える仕組み(mind)のことで、「こころの性質」とは、その仕組みの構造と機能のことです。

 

言語学(生成文法)での「知識」は、規則体系のことを指します。英語を母語とする人のことばの知識は、英語に特有の規則だけから成っているわけではありません。どの言語にも見られる普遍的な規則も含みます。日本語を母語とする人のことばの知識についても同様です。すべての言語の母語話者がもつ共通の普遍的な知識(知識としてこころ・脳に内蔵している規則)の全容は、まだ明らかになっていません。様々な言語の研究を通して、その知識の解明、ひいては人間のこころの性質・脳の解明に寄与することが、私の研究の目標です。

 

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上の写真1は3年生のゼミ(特別課題演習)の様子です。ゼミでは、言語獲得を中心に、言語学の様々な領域・トピックについて取り上げています。写真2は新庄市で開催されたEnglish Camp 2024の様子です。English Campでは、小学生や中学生を対象に、私の留学先での体験について講演しました。

 

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写真2

 

 地域教育文化学部 講師

大髙 茜