このシリーズでは、山形大学地域教育文化学部の先生たちが自分の授業や研究、やっていることなどについてご紹介していきます。今回は、芸術支援・美術科教育担当の廖曦彤(りゃお しとん)講師が執筆しました。
* * * 担当授業について * * *
私が主に担当しているのは、美術の先生になるために必要な教職関連の授業や、アートを通して人々を繋いだり、地域づくりに貢献する学びの場を考えていく授業です。例えば、美術の題材研究(図1〜4)という授業では、馬見ヶ崎川の河川敷を歩いで、自分、他者、環境との関わりの中で発見し、アイディアに出会い、自分の表現を生成していきました。異なる色の石を収集して、砕いで作った絵の具で筆を走らせるのは、とても不思議で素敵な体験でした。
図1〜4 石を収集して絵の具にした授業の様子
* * * 地域でのアート・ワークショップの実践 * * *
私のライフワークの一つは、さまざまな地域でワークショップを行うことです。アートは、人と人を繋いだり、一緒に新しい体験や探求をしたり、感動や気づき共有できる力を持っています。例えば図5は、流木を使って空想上の生き物に見立てていく子どものアート活動です。流木を触ったりよく観察したり着色したり、生き物の生態や性格を考えて共有するのは、普段と少し違うコミュニケーションや体験を生み出すことができます。
図5 流木のワークショップの活動様子
図6〜7 藁の家のワークショップの活動様子
図6〜7は、藁や竹を使って大きいな「家」を完成する幼児の親子活動です。稲刈りしたばかりの稲わらの香りに包まれながら、子どもと大人、皆で一つ大きな作品を作り上げあるという体験、遊びと学びが一体化した活動をデザインし実施しました。完成した後は藁の家でピクニック!地元の農家の米で作られたおにぎりを一緒に食べましたよ。
* * * 地域教育文化学部で、一緒に学びませんか? * * *
私は、アートがどのように私たち人間の経験を拡張できるのかを研究しています。ものごとに対する感じ方、私たちの記憶や感情には、数えたり測ったり言葉で表すことだけでは捉え切れない側面があります。芸術表現には、感性を通してそういう部分を直感的に捉える力があります。授業やワークショップの場にいるすべての人は、表現する者同士であると同時に、学び合う者同士でもあり、一緒に探求し発見していく仲間です。その中で起きるたくさんの学びを、一緒に追求していきたい。
ぜひ、仲間になったときに、一緒にその感動の時間を共有したいと思います。
地域教育文化学部
廖曦彤 講師
(2023年着任)