お知らせ

2025-07-07 12:30:00

 山形大学地域教育文化学部講師の竹林知大先生が、アメリカ地質学会(GSA)主催のペンローズ国際会議に、日本代表の一人として選ばれました。この会議は世界中から約100名の優れた研究者のみが選抜される特別な国際会議で、日本からはわずか3名が選ばれ、竹林先生はそのうちの一人として出席しました。会議はカリフォルニア州で6月19日から23日までの5日間にわたり開催されました。

 竹林先生は、プレートの沈み込み帯で形成される高圧変成岩「エクロジャイト」の研究を専門とする若手研究者で、その成果が高く評価されて今回の選抜につながりました。研究対象は日本の愛媛県に分布する三波川変成帯のエクロジャイトであり、アジア地域およびフランシスカン沈み込み帯における白亜紀やジュラ紀の深部環境の解明にも貢献するものです。

 

 

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画像:ペンローズ会議の様子。(a): ペンローズ会議での本学教員竹林先生の発表。(b): 入場中の会議場の様子。(c): 発表デスクからの眺め。約100人の研究者が集まる。(d): ペンローズ会議公式のフィールドトリップ。写真著作権:竹林知大。

 

 

 特に注目されたのは、ガーネット中の石英とルチルという鉱物の微細な構造を分析することで、地球深部における高い圧力条件を推定する新しい手法です。この手法により、物質が地球内部へ沈み込む過程を明らかにすることが可能となり、沈み込み帯における地質環境の理解に貢献できると期待されています。博士の研究成果の一部は、すでにJAMS鉱物科学学会の国際誌に速報として掲載されており、国際的にも注目を集めています(Takebayashi et al., 2023 JMPS)。また本発表は近い将来、国際論文に掲載されることが想定されています。

 

 

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画像:ガーネット中に発見されたルチル離溶ラメラと呼ばれる組織。従来の圧力換算からできないであろうと考えられていた岩石から発見され、将来の変成岩岩石学の指標になる重要な発見である。画像引用:Takebayashi et al., 2023 JMPSより。

 

 

 竹林先生は、「ペンローズ国際会議は、世界の自然科学や地球科学の教育分野にも大きな影響を与える重要な会議であり、近い将来、この会議で議論された内容や決定事項が、各国の教科書にも反映されていく可能性があります」と語っており、研究成果のみならず科学教育への波及効果にも期待を寄せています。

 

【研究論文】

Takebayashi, T., Kouketsu, Y., & Michibayashi, K. (2023). Rutile exsolution lamellae of garnet in quartz eclogite from the Sanbagawa Belt, Mt. Gongen, central Shikoku, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 118(1), Article 221219d. https://doi.org/10.2465/jmps.221219d

 

【ペンローズ国際会議】

https://www.geosociety.org/GSA/GSA/Penrose/current.aspx

Penrose Conference 2025 IEC 2025:

Eclogites in Space and Time – Bridging the Micro to Planetary Scales

Rohnert Park, California, USA | 19–23 June 2025

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