お知らせ

2024-02-01 09:47:00

1217日(日曜)に、「令和5年度やまがた学校改革推進協議会」の第2回を対面とオンラインのハイフレックスで開催しました。この協議会は、文部科学省「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」の一環として実施したものです。当日の参加者は、本事業に関わる山形県内の学校および山形県教育委員会、山形県教育センターの関係者など、39名(対面参加23名、オンライン参加16名)でした。 

 本事業は、これまで各個人の資質能力の育成に重点を置いていた教員研修を見直し、学校の教職員コミュニティの活性化を視野に入れた共同体ベイスの新たな教員研修システムを構築するものです。
 当日は、出口毅副学長の挨拶のあと、中西正樹研究科長が座長をつとめ、次の報告がありました。
 (1)やまがた学校改革推進協議会の申し合わせ案について
 (2)「学校マネジメント講座」と「学校間ネットワーク」の進捗状況について
 (3)「学びカフェ」の運用について
 (4)「学びを広げる力」を評価する実践について
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      出口副学長の挨拶           学びカフェの実践報告

 

 「学校マネジメント講座」については、山形県教育センター副所長の樋渡美千代氏が、11月までの学校マネジメント講座の概要と受講生の充実度の推移を示し、講座の意義について次のように述べました。
11月になりようやく見えてきた小さな挑戦の糸口。世の中の多くの『研修』は、短時間で効率よく学べるパッケージになっている。一方で、この講座は、小さな挑戦から(受講生が勤務校で)まずやってみることから始まる。うまくいくこともあれば失敗することもあるため、短期間で何かを変えるというものではない。しかし、結果として学校が動き出す可能性を秘めている。」
「学校間ネットワーク」は、受講生の取り組む実践プランについて、大学教員がオンライン上で相談とコメントを行うものです。山形大学WebClassZoomを利用しました。実際に運用してみると、相談の機会を設けても、受講生からのアクセスとかみあわず、十分な活用にむけた課題が明らかとなりました。
 「学びカフェ」の運用については、河北町立谷地南部小学校教頭の荒木康子氏が実践報告を行いました。
運営の中心を20代の女性教員が担ったこと、開催は145分間で月に1回から2回実施したこと、テーマはその時々の悩みや1学期の計画、遠足おすすめコース等であったという報告でした。今年度初任の教員から次のような感想があることも紹介されました。「先生方の日頃の取組みや教育に対する考え方を知ることができ、とても勉強になった。まじめな時もあるが、基本雑談のようにゆる~いスタンスなので楽しい。」  
 ここまでの報告を受けて、参加者で意見交換をしました。
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     意見交換をする参加者         意見交換をする参加者

 

 参加者からは、「学びカフェの実践例を聞いたことで、イメージをもてた」などの声がありました。
 続いて、「学びを広げる力を評価する」について、森田智幸准教授より、次の点の報告がありました。学校内での研修の目的が学校のイノベーションであること、その際に、「デザイン思考」の考え方が大切であること、具体的には、「企てる」こと、「まずやってみる」こと、また、それを物語として語り、周囲を巻き込み、プロジェクトを少しずつ広げ、大きくすることの大切さが紹介されました。こうした視点から、学校マネジメント講座のなかで受講生が発揮している力を「学びを広げる力」と呼び、それを「見える化」して学校のイノベーションをマネジメントする資質・能力として明確にしていく構想が述べられました。
 以上の報告と意見交換のあと、外部評価をお願いしている松木健一福井大学理事・副学長と、佐伯胖東京大学名誉教授より、コメントをいただきました。
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     コメントする松木健一氏           コメントする佐伯胖氏

 

 松木氏は、「学びカフェ」から見えてきたこととして、「教師は一人では育たないこと、子どもの実践の語りと傾聴が重要だ」と指摘しました。その際、校内で気楽に話せるのは大切で即効的だけれども、「語りと傾聴における異質者」がいることで、「相手と共有できる根源」を探る「自己の持つ学習観・教育観・発達観の捉え直し」につながると述べました。具体的には、「学びカフェ」同士をつなぐ課題を提起しました。 
 佐伯氏は、協議会の議論を聞いた感想として、「『おもしろくなければつまらない』とはっきり言ってほしかった」と述べ、次の点を指摘しました。
・どうしても「研修」というと、「お勉強をする」「『教えてもらう』-『教えてあげる』」というモードになる。しかし、もっと「おもしろがる」ということをきちんと出し合う必要があるのではないか。
・この「おもしろがる」というポイントは、実践のなかでの「想定外に向き合うこと」であり、想定外をつぶすように「計画をたてる」のとは方向性が違う。
・「省察的実践」と安易に言うことに注意してほしい。「省察」とは、現場の中に(想像上であっても)身をおき、そのとき何が見えていたか見えていなかったか、自分が何を考えていたかを克明に語ることである。語りながら、「違うかな」とふっと湧き起ってくることに目を向けてほしい。
 参加者からは、「『まず、やってみる』というデザイン思考に共感した」「『学びカフェ』を通じて同僚性の構築に期待したい」といった感想がありました。
 
 最終の第3回のやまがた学校改革推進協議会は、215日木曜の午後に予定されています。関心をお持ちの皆さんの参加をお待ちしています。