卒業、修了を迎えられた皆さんへ
このたび、卒業、修了を迎え学位を授与された皆さん、卒業ならびに修了、誠におめでとうございます。すべての卒業生・修了生の皆さんに、心よりお祝いを申し上げます。
皆さんは、新型コロナウイルスが猛威を奮った真っ只中、この山形大学で勉学に励みました。小中高と対面による授業が当たり前に過ごしてきた皆さんにとって、大学に入った途端にオンライン授業を強いられ、それを受け入れ、その中から知識を得ることは非常に大変だったことと思います。また、仲間と親睦を深めるうえで重要なサークル活動は自粛を余儀なくされ、自らが手を動かし、様々な知識や技術を身に着ける実験・実習ですらもオンラインになったことは、大学生活自体に大きな不安を覚えたことと思います。このように当たり前でないことを当たり前にすることは、並大抵の努力ではなかったはずです。皆さんが本日手にしている学位記には、皆さんが並大抵でなかった努力を一人一人がしたという証でもあります。そして、大学が授与する学位記は、皆さんがそれぞれの専門分野において一定の知識や能力、研究業績を修められたことを証明するものであります。そのことにぜひ自信をもって、次の一歩を歩んでいただきたいと思います。
さて、皆さんはこれから一人一人の人生を歩むことと思います。社会人になる方もいれば、大学院に進学して自らの専門を極める方もいると思います。皆さんそれぞれがこれからの人生を歩むなかで、目の前に大きな壁が立ちはだかり、挫折しそうになり、時には逃げだしたくなることがあるかもしれません。その時は、コロナという大きな壁を自らの力で乗り越え、学位を取得したということを思い出してみてください。皆さんは、コロナ禍の中で学業を修める上で、いろいろな方面から自ら考え、解決したことと思います。こうして皆さんが大学生活の中で1つ1つ積み上げてきたものは、大きな困難をも乗り越える力になると私は信じています。それでも解決できないこともあるかもしれません。その時は一人で抱え込まず、是非この山形大学を訪ねてください。私をはじめ、皆さんの研究室の先生は皆さんと一緒に親身になって考え、きっと解決の糸口を見出してくれると思います。いつまでも本学は皆さんの味方です。
最後に、私から卒業・修了する皆さんへ1つお願いがあります。それは、本日皆さんが学位記を手にできたのは、皆さんの努力だけではなく、たくさんの方の支えがあったからという感謝の気持をいつまでも持ち続けてほしいということです。卒業を目指して切磋琢磨しながら一緒に頑張ってきた友人や皆さんを陰ながら支えてくださったご家族をはじめ、この世の中はたくさんの方との繋がりによって成り立っています。その繋がりの中で生まれる感謝の気持ちを常に持ち続けていただきたいと思います。
また、コロナ禍は我々の生活を取り巻く経済をも大きく変化させましたが、安心して学生生活を送ることができたのも同窓会や地域の方々からの支えがあったからです。新型コロナウイルス感染症により、我が国の経済が厳しいと言われながらも、同窓会からの支援や多くの方から寄付が寄せられました。このように多くの皆様から支援いただく度、いかに学生の皆さんに大きな「期待」が寄せられているかということを、私自身実感しました。
この予測不可能な時代、世の中にはたくさんの課題が山積していますが、本日、卒業・修了を迎える皆さんが、本学で学んだたくさんの知識を活かして、解決してくれることを心から願っております。皆さんの人生の新たなステージへの出発を心からお祝い申し上げ、私からのメッセージといたします。本日は誠におめでとうございます。
令和5年9月22日
山形大学長 玉手英利